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夢をいだく夢

No.1034

 

夢をいだく夢

 

 

愛する姉妹の皆様

不確実で不安定な世界情勢のうちにいますが、信頼と希望をもって新年を迎えましょう。1824年、ドン・ボスコが9歳のときに見た夢の200周年をお祝いすることは、わたしたちにとって、またサレジオ家族全体にとって、カリスマの刷新の動機となります。

 

「夢をいだく夢」

『オオカミ』から『小羊』へと変わる心

 

アンヘル・フェルナンデス・アルティメ総長がわたしたちに提案される2024年のストレンナのこのテーマは、まさに、ドン・ボスコの宣教司牧の選択とよき牧者である主イエスとの関係を結び合わせた夢へ、心と精神を尽くして立ち返るという必要性から生まれたものです。

アンヘル師は、この夢が、サレジオ家族全体にとって、ストレンナの核心に位置づけられるにふさわしいものであると言っておられます。

「この『ストレンナ』は、サレジオ 家族全体にとっての教育および司牧にまつわる一年を導くものです。『ストレンナ』は、福音宣教の際にも、教育的な支援の際にも、また社会的促進活動の際にも、さらに 深められ、頻繁に読み返されるべきものです。このサレジオ家族は、ドン・ボスコをながめるときに、聖霊のいぶきを体現した父親らしさを見出すのです。」(「ストレンナ2024総長による解説」阿部仲麻呂 訳)。

ドン・ボスコがしたさまざまな物語の中で、総長は最も信憑性が高いと思われるものを選びました。なぜなら、それはドン・ボスコ自身が、すでに60歳、つまり夢と現実を具体的に結びつけることが容易な年齢の時に書かれた『オラトリオ回想録』の中で語っているからです。

神の恵みと、母であり扶助者であるマリアの現存が、彼の少年たちと、最初の時から同じカリスマ的理想を共有し従ってきたサレジオ会員、扶助者聖母会員、サレジアニ・コオペラトーリの人生にどれほど働きかけたかを体験しながら、困難に直面し、数々の苦しみを乗り越えてきました。

 

ストレンナの目的は、今日の世界におけるサレジオ会の使命を今も生かし続けているドン・ボスコの夢を、わたしたちの内省のために提案することです。それは、わたしたちの起源を忘れないためだけでなく、何よりも自身の召命とサレジオ会への忠誠を見直すのを助けるためです。マードレ・マザレロの的確な表現を用いれば、わたしたちが扶助者聖母の娘であること、そして教会の中でわたしたちを際立たせている教育的情熱を新たにするために、「今こそ、火を再び燃えたたせる時です」と言うことができます。

 

教皇フランシスコは、ローマ教皇庁へのお祝いの挨拶の折に、愛し、歩み、さらに前進するには勇気が必要だと断言されました。今日、大変苦労することは、とうの昔に情熱を失ってしまった人々に情熱を伝えることです。彼はまた、教会における本当の違いは、保守派と進歩派の違いではなく、「夢中になること」と「慣れてしまうこと」の違いであるとも述べています。

 

親愛なる姉妹の皆さん、わたしたちは、神がわたしたち一人ひとりのうちに偉大なことを行いたいと望まれ、それがおできになると信じています! 信仰によって受け入れられ、忍耐によって深められ、愛によって内面化され、信頼によって従われた神のことばは、わたしたちの道を照らす光です(詩編 119, 105参照)。したがって神のことばは、歴史的なこの瞬間に、主がわたしたちに委ねられた使命に応えるための最高の資源とエネルギーを目覚めさせることができます。その神のみことばの中で、わたしたちは「慣れてしまう」のではなく、「夢中になって」生きることを経験します。実際、わたしたちは、継続的な識別の中で、わたしたちに委ねられた一人ひとりの召命の成長を促し、同伴するよう求められています。

わたしたちの使命の優先的目標は、青少年たちを主イエスとの出会いに導くことです。彼らはわたしたちに、より開かれたシノドス的司牧(第24回総会議事録 n.22参照)のために、新しいスタイルと新しい方策を取り入れ、福音とサレジオ霊性のスタイルに沿った教育的提案の主人公となり、それを実現する者となるよう求めています。

 

象徴的かつ、カリスマ的価値を持つ幼いジョバンニの夢を貴重な遺産として大切に守り、また、不思議な 人物によって「女の先生」 として紹介された夢の核心部に位置するマリアの姿を考察しましょう。ドン・ボスコが1885年にニッツァ・モンフェッラートのFMAを訪れた最後の訪問で、わたしたちの会におけるマリアの慰めに満ちた母としての確かな現存についてはっきりと指摘されました。「聖母はここにいらっしゃいます。聖母はこの家の中をめぐり歩いていらっしゃいます」(クロニストリア 5 58頁参照)と。 わたしたちの人生と教育使命において偉大な業を成し遂げられるのは、常に聖母です。

9歳の夢から2世紀を経た今、わたしたちは、ジョバンニーノに託されたことが実現されただけでなく、同時に、世界の若者や青少年への贈り物として、どれほどの善が達成されてきたかを目の当たりにしています。「これが、あなたの持ち場です、あなたの働くべき分野です、謙遜で、強く、たくましい人になりなさい。今、この動物たちに何が起こるかを見せてあげましょう。それと同じことを、わたしの子どもたちのために、してあげてほしいのです。」

こうしてマリアは、まさにご自分の使命は新たないのちを運び、生み出すことであることから、サレジオのカリスマの誕生に、最初から現存しておられます。そのため、主は、聖霊降臨の際のおとめであり、教会の汚れないモデルである聖母に、女の先生としての大切な務めを委ねます(ストレンナ 1.4 参照)。ドン・ボスコがすべてを理解できるようになるまで、聖母は夢の続きを見守ります。

 

この夢は、その当時のこととして、わたしたちが今日の現実を読み取り、若者の間で、若者とともにいるわたしたちの現存を再考する助けとなります。ドン・ボスコとマードレ・マザレロに目を向けながら、わたしたちは、彼らが完全に生き、マードレ・マザレロ自身がモルネーゼで、すべてのニュアンスを女性らしく解釈し、完全に生き抜いた「presenza」の預言に立ち戻ることを選びました。

 

この歴史的な瞬間に大きな存在感を示すためには、本会の生活の質と使命の実りを左右する教育を充実させることが、不可欠であると確信しています。カリスマが持つ預言的なダイナミズムに忠実であるためには、先を見通すビジョンと、召命文化に通じる計画的メンタリティーが必要です。これは、新しい世代の未来を準備するために献身する多くの人々とのネットワークの中で、サレジオ的カリスマの豊かさをその地に根づかせるために、今日、神がわたしたちを呼んでおられるさまざまな状況において、教会の中でのわたしたちの共同体を、真にいのちを生みだすようにさせてくれます(第24回総会議事録「はじめに」参照)。

 

総長アンヘル・フェルナンデス・アルティメ枢機卿が、このストレンナを通してサレジオ家族の中において、女性的で、母性的なマリアの次元を、わたしたちが娘として、日々の生活と使命の中で輝かせるよう呼ばれているいのちを生みだす共同体であるという決意を新たにするよう呼びかけてくださったことに、全サレジアン・シスターズに代わり、感謝したいと思います。

サレジオ会の兄弟の皆様、サレジオ家族のさまざまなグループと教育共同体、若者の皆様、そして、愛するあなた方とご家族の皆様に、平和と希望の2024年が訪れますように。

 

わたしたちは、支配する人々を照らし、平和と善のための活動に携わるすべての人々に勇気が与えられ、戦争、暴力、迫害に苦しむ人々を慰めて下さるよう、続けて聖霊を呼び求めましょう。

 

人権を尊重する社会的友愛の未来のために働く若者や大人を支え、勇気を与えてくださいますように。

 

導き手、助け手であり、平和の女王であるマリアのご保護に、全人類をお委ねします。

 

 

ローマ 2024年1月1日

       皆様を愛するマードレ