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フルタイムの教育に150 年間を

No.1022

 

フルタイムの教育150 間を

 

 

愛する姉妹の皆様

 

先日、総評議会が教皇庁立教育単科大学“Auxilium”に委託された国際大会、「教育へのFMAの貢献(1872-2022):行程、挑戦、展望」が終了しました。

扶助者聖母会を代表して、学部長suor. Piera Ruffinatto、教授、教授会および組織委員会のコーディネーターsuor Grazia Loparco、大会事務局長suor Maria Teresa Spiga、そしてこの大会を開催してくださったすべての方々に感謝いたします。

この特別なイベントを通して、わたしたちは、150年の歴史の中で、ダイナミックな活力と創造性をもって世界中で具体化され、広められ、いたるところでいのちと希望の実を結んできた本会の教育的カリスマの豊かさについて振り返りたいと思いました。テクノロジーの活用により、五大陸の教育共同体とつながり、教育について多方面からの研究と考察を共有し、世界規模での現代の課題を明らかにした国際レベルの男女講演者に耳を傾けることができました。

わたしたちは共に生活し、本会の普遍性の表現と、明らかな違いがありながらも強いカリスマ的な調和をもって、様々な国の文化の中で開花しているカリスマのしるしの豊かな体験を楽しむことができました。

大会中に得られた豊かな内容を、愛と専門性をもってわたしたちに提供される養成の機会として、各共同体で共有し、深めることができるように願っています。

 

お祝いすること、感謝すること

わたしたちが生きている時代は、わたしたちの会を当初から特徴づけ、その召命の豊かさを示してきた教育的・宣教的情熱を新たにすることがわたしたちに求められています。

大会は、正確な統計データの周知から始められ、生きた豊かな体験を読み直し、ドン ボスコとマードレ マザレロ、そして、さまざまな大陸の, 特に意味深い存在である扶助者聖母会員の教育的な計画性と比較するために過去に耳を傾けました。

わたしたちの創立者は、prezenzaというカリスマの基準に従い、生きた教育関係を使命の礎としました。それは、青少年の人生と統合的な円熟を配慮することによって方向づけられる存在です。したがって、彼らはさまざまな働きを表すため、「家」という用語を好んで用いました。事実、最初の教育的関心は、若者が「家」を体験することを助けること、つまり、彼らが出会い、愛され、大切にされ、同伴されていると感じる家族的環境を作り出すことでした。

修道会は、派遣されている様々な地理的、文化的背景の中で発展できるように、最初から普遍的、宣教的ビジョンを想定し、大胆さと勇気をもって、新たな課題に立ち向かうよう会員を支えてきました。

わたしたちの初期の姉妹たちは、マードレ マザレロとともに、貧しく、文化も手段も乏しかったのですが、da mihi animas cetera tolle「我に霊魂を与え、他のものは取り去りたまえ」と、A te le affido「あなたにこの少女たちを委ねます」の委託を受けとめました。また、多くの少女や家族、特に貧しく、なおざりにされている人々に、すでに知っているような狭い範囲の枠を超えて、福音のメッセージを伝えたいという望みによって、自分自身を燃え立たせました。

大会の進行中に何度も強調されていたのは、まさに重大な危機、苦難、前例のない転換期にこそ、サレジオ的教育のカリスマを変えさせ、変えてくれる活力が明らかに現れているということでした。歴史のさまざまな場面で、扶助者聖母会員は、新しい挑戦に照らしてそれぞれの教育的介入を計画するために、カリスマを再度解釈する知恵を持っていました。それによって、予防教育法は、世界中で多様な事業や種々の表現を通して活かされています。

つつましい起源と今日の発展とを比較すると、意外な事実を知って愕然とし、感謝せずにはいられません。わたしたちは、緊急で、かつてない予防教育のための機会を提供する時代を生きています。とりわけ女性には、今日、男性との相互補完において、すべての人のためにより良い未来を築くことが、これまで以上に求められているのです。

大会中、わたしたちは、大切に保たなければならない貴重な宝物があるという意識を培い、ミッションパートナーからの声で、広範囲にわたって共有することの重要性を、しばしば思い出しました。わたしたち一人ひとり、そしてそれぞれの教育共同体は、カリスマの活力に対して個人的に責任を負っています。なぜなら、それは教会を建立するための聖霊の賜物だからです。実際、それは本質的に預言的な力強さを持ち、宣教において「いのちを生みだすもの」であるための条件として、個人と共同体の継続的な回心が要求されています。

だからこそ、わたしたちがこの大会を単なる祝賀行事ではなく、わたしたちに委ねられた青少年、創立者と教会、そしてわたしたちが派遣されている社会に対する責任、さまざまな地理的・文化的コンテキストに対する責任を持って、新たな歩みを再開する体験の場と考えています。

 

現在から未来へ

 わたしたちは更にもう一度、わたしたちの修道家族の中で熟した聖性の実りを確認することができました。それは、女性が家庭や社会生活の中で重い代価を払い、寛大な姉妹たちが今もその代価のもとに庶民的な地域から来た若い女性たちの新たなニーズを把握するため、的確で教育的愛徳の一貫としてカリスマをあかししてくださったお陰です。

予防教育法の創造的な解釈者として大会で発表された「扶助者聖母会員」の姿は、その日常生活の中に受肉したカリスマの活動的な潜在力、彼女たちを活かしているサレジオの喜び、先見の明、多くの避けられない困難に直面して示された勇気についてわたしたちは考えさせられます。それは、日毎の営みに織り込まれた生きたカリスマの体験をわたしたちに伝えてくれています。

わたしたち一人ひとりも、彼女たちのように自分の人生においてカリスマを成長させ、自分の特性と資質でカリスマを豊かにすることができます。自分の教育共同体でわたしたち一人ひとりは、ドン ボスコがかつて言われたことをわたしたちの宣教において分かち合い、具体化することができます。「わたしが始めた仕事をあなた方が完成します。わたしは下絵をデザインし、あなた方が色を付けるのです。今は新芽があります…。」(MB XI 309)

わたしたちは、青少年と継続的な関わりを持ち、その世話をし、かれらに耳を傾け、かれらを知り、理解し、かれらの中にとどまり、統合された成長の新たなモデルを構築するに際し、かれらを助け、その人生の大切な選択に向かってかれらを準備し、希望の未来に向けてかれらを開くことを恵みとして生きています。

サレジオ的教育者としてのわたしたちのアイデンティティは、わたしたちの生活のプロジェクトである「会憲」にしばしば言及されます。

わたしは第64条に注目します。それは、ドン ボスコとマードレ マザレロの心に従ってわたしたちが教育者であることの重要性と美しさを強調しているからです。

 

「扶助者聖母会員は、

一定の共同体のメンバーである限り

派遣された者である。

したがって、わたしたち各自は

-従順によって、いかなる任務を受けるにしても-

異なる役割、また、

 相互に補足し合う役割を通して、

全員が青少年の救いに協力するとの確信を持って、

姉妹たちとの一致のうちに

『da mihi animas』の精神による

サレジオ的教育者のアイデンティティに生きる。」

 

教皇フランシスコは、総会議員への講話の中で、マリアを仰ぐことによって教育者としてのアイデンティティを生きるよう呼びかけられました。「…マリアは注意深く、その場にいて、気配りなさる女性です。皆さんもマリアのように現実に注意深く耳を傾け、その場の必要性をキャッチし、ぶどう酒が、つまり愛の喜びが不足するとき、言葉ではなく、奉仕、親しみ、思いやりをもって身近にキリストをもたらすのです。…皆さんは母親です。だから優しいのです。そばにいるということは、いつくしみ深くやさしい神がいつも近くにいてくださるということです。毎日、良心の糾明の時、心に問いかけてみてください。「今日わたしは他者のそばにいただろうか」、「思いやりがあっただろうか」。「優しかっただろうか」これで前進してください。優しさという言葉をよく使ってください…。マリアのように希望の女性であってください。それをサレジオのスタイルで、サレジオのアイデンティティから始めて、特に傾聴、積極的にそこにいるという青少年に対する愛によってしてください。そしてドン ボスコが言っていた、その時、その場での創意工夫です。」(2021年10月22日 総会議員への講話)

世界は急速に変化し、わたしたちがサレジオ的教育者として青少年に自分自身を与えることに挑戦する世界の複雑さは、善意だけではなく、確かな人間学の原理、ドン ボスコとマードレ マザレロの教育的ヒューマニズムに基づき、それぞれの専門分野を絶えず深める養成が求められています。

現代は、以前にも増して、新しい地平を切り開き、夢を育てる確固とした文化、知性、そして批判的で、かつ目的意識の高い感覚を必要としています。その上、あかしの一貫性と強さが求められます。今日の世界は、その大きな可能性と資源があるにもかかわらず、深い混乱と不透明さの中にあります。人類の危機は、神の愛のプロジェクトにそった人間本来の関係性と超越性に衝撃を与えます。急速で深刻な変化は、先ず、現代世界の挑戦に応えることを目的とした養成課程の必要性を説き、教育とその変革能力を求めています。

従って、わたしは、第24回総会で何度も繰り返された、扶助者聖母会員、そしてわたしたちと教育使命を共有するミッションパートナーの養成にもっと投資するよう改めてお願いいたします。それは、青少年のうちにいのちと希望を生み出し、社会で意義のある存在であるために必要不可欠な条件だからです。

わたしたちの召命への忠実さは、賢明さ、識別力、勇気、また、今日と明日の世界のニーズに応える新しい世代の準備にあたっての専門性を身につけるため、わたしたちの養成をより質の高いものにすることを求める新たな文化的パラダイム(物の見方、捉え方)へと開かれることを要求します。                  

教育することは、家庭、社会、青少年が非常に必要としている希望の一つの行為です。

今日、社会、異文化、コミュニケーションとテクノロジー、環境保全など、高いレベルで保持する必要があります。わたしたちは、不平等や不公平を打破し、責任を持って隣人の世話をし、正義、平和、すべての人に及ぶ兄弟愛の価値観で青少年を教育するよう呼ばれています。

気候変動による危機は、わたしたちに問いかけ、創造的で大胆に、根気強くネットワークを構築するよう求めています。実際、必要な変化をもたらすためには、強い集中力が必要です。

わたしたちの創立者が教えてくれたように、教育において、影響を与えるためには人が大勢いる方が良いのです。実際、それは、いのちへの配慮、典型的な母性的、マリア的使命に根差した、いのちを生みだすシノドス的な働きです。

ですから、未来に向かって、知恵と先見の明をもって準備するためには、教育共同体として、拡大し続けるネットワークの中で、教会と社会、諸機関、サレジアン・ファミリーのグループ、他の修道会、さまざまな召命と相互に協力体制を組みながら、共に前進することが必要なのです。

 

サレジオ養成の意義深い時

 2022年10月30日(日)午後3時(イタリア時間)、わたしたちの聖人、福者、尊者、神のはしためが埋葬されている、あるいは特に思い出のある重要な場所でのストリーミング接続によって祈りに参加できることをお知らせします。

これは、本会の創立150周年を記念して行われる、諸聖人の前夜祭に、この姉妹たちの執り成しによって、全世界の人々と本会のために平和の恵みと祝福の賜物を呼び求める「FMA 創立150周年ハロウィーン」となりますように。

ドン・ボスコは「わたしたちの偉大なことはすべて、無原罪の聖母の日に始まり、達成された」ことを思い起こさせます。(MB XVII, 511)

この聖年における無原罪の聖母の祝日の準備は、12の星で表される世界中の扶助者聖母会員一人ひとりと教育共同体の具体的な生活の中で続けられている聖母マリアへの感謝のしるしであることを、前もってお知らせします。ノヴェナの終わりに、本会にとって非常に重要な年に、聖母マリアは12の星の冠を授けられるでしょう。

予定通りにノヴェナを実現できるように、11月26日から開始します。

この提案は、11月上旬に本会のwebサイトに掲載される予定です。

「勇気を出してください」と、マードレ マザレロは言われます。わたしたちの前には、美しく、実り豊かで、素晴らしい使命があることに感謝しなければなりませんが、同時にわたしたちは、「あなたにこの少女たちを委ねます」という委託を、わたしたちの教育使命として新たな自覚を持って受けとめ、これを固く忠実に守り抜くと言う公的な責任を果たすよう絶えず求められています。

母であり師である扶助者聖マリアに、すべての教育共同体、特に青少年の歩みと生活を委ね、また全人類のために平和を祈り求めましょう。

総評議員の姉妹とともに心からのご挨拶をお送りします。

 

2022年10月24日 ローマ

 

皆様を愛するマードレ