ページのトップへ

世界を動かすための修道女の革命2

OLYMPUS DIGITAL CAMERA                                                                                                                                              2単純、素朴な生活の中に・・・ トーマス司教(サレジオ会員)の講話から

代わり映えのしない単純、素朴な生き方の中にも大変英雄的な生き方が存します。仕事における驚異的な成功、人々の注意を引き、世をあっと言わせるような素晴らしいことを実現するようなことは無くても、長い年月忠実であり続けること、同じ事の繰り返しである奉仕などこそ英雄的な生活なのです。

 皆さんは、不平不満ばかり言って協力してくれない仲間に嫌気を覚えていませんか?他の人があなた方の考えや提案を受け入れてくれないと、その理由を否定的に解釈し、悪く言うことはありませんか?そういう時こそ、皆さんのサレジオ的熱意を燃やす時です。「勇気を出して!」、マードレマザレロのくちびるにいつものぼっていた言葉です。何か問題がおこってそれに対処するため新しい道を探すような事態になると、おもしろいことに私たちの思い煩いは中断され、好ましく思えなかったような人との一致が生じてきます。これが生活の法則なのです。

 私は、認められていないと感じることがあります。こう言う時は、他の人のことやその人のする良いことを認めるにあたって嫉妬深くなります。そういう時こそ、すべてにおいて新しい生き方をするようにしましょう。その人を名前で呼び、その心配に心を向け、その寛大さをほめ、よくなした働きを認めるようにします。マードレ・マザレロは1880年3月31日にトリーノの院長Sr.ピエリーナ・マラッシに書き送っています。「私は、皆さん一人ひとりに一言だけ申し上げたいです。他の人にむかって私たちの方から近づいていくようにしましょう」と。

 皆さんは賞賛されたり、感謝されることはあまり無いかもしれません。そのようなことは探し求めることではありません。私たちにとって大切なのは内的姿勢です(マタイ 15章17~20)。マルティン・ルター・キングは言います。「あなたが人間から賞賛を受けることが無い時こそ、あなたのなした偉大なことを賞賛するため天から天使達が下って来ます」と。

 単純・素朴な生き方の中に英雄的な働き、徳があります。調理場での奉仕、香部屋での奉仕、家の掃除、恵まれない人々の所へ出向いて行くこと、道ばたの子供たちと遊ぶこと、教育分野での国家の方針に影響を及ぼすような働き、政治経済界に貢献することなど、単純・素朴になされたどの働きも高貴で英雄的なものです。

私たちは時間をどのように用いるのでしょうか。時間は私たちが有している大きな資源です。それは貴重なもので財貨より大切なものです。時間を有効に用いることが出来ているでしょうか?私たちのつとめからの要求に沿って、それを良く準備することより自分の好むことや自分の便宜の方を優先させているのではないでしょうか。こうして忠実さを失い、単純・素朴な生き方が出来なくなっていきます。マードレ・マザレロは1879年7月22日にモンテヴィデオの院長Sr.アンジェラ・ヴァレーゼに「本質的ではないことに力をいれて重要なことに気づかないことがあり得ます」と書いています。

 苦しみは生活の一部であり、生きることにつきものです。大きな苦しみをもたらす罪は自分によることであり、そこに苦しみが生じるのは当然のことであり、その痛みで償なうのですが、自分によらない苦しみがあります。それをどのように受け止めるのでしょうか。それは、一日のうちに呼びかけられる小さな挑戦のチャンスを受け入れるのか、拒絶するのかにかかっています。

単純・素朴な生き方は、一瞬一瞬選びとられた神に向かっての英雄的な歩みなのです。 (TS)