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2025年3号 神の言葉 ユディット 希望における大胆さ

神の言葉

 ユディット 希望における大胆さ

 

Eliane Anschau Petri

 

 旧約聖書の女性たちの中で、一人の大きな英雄的存在が際立っています。それはユディトです。信仰と勇気に満ちた彼女は、死の危機にさらされていた自分の民に再び力を与え、希望の道へと導きました。

◆背景 劇的で絶望的な状況

 彼女の名を冠した聖書の書は、王ネブカドネツァルの壮大な軍事遠征を物語っています。ニネベで支配していた彼は、周辺のすべての民族を打ち破り、服従させることで帝国の領土を拡大していきました。彼は強大で、見たところ打ち負かすことのできない敵であり、死と破壊をまき散らしながらついに約束の地にまで到達し、イスラエルの民の命を脅かしました。ネブカドネツァルの軍隊は将軍オロフェルネに率いられ、ユダの都市ベトリアを包囲し、水の供給を断ち、こうして住民の抵抗を弱めていきました。民は恐怖に打ちひしがれました。状況は極めて深刻になり、ついに住民たちは長老たちに敵に降伏するよう迫るほどになりました。

 旧約聖書に登場する女性の中で、一人の偉大な民族のヒロインが際立っています。それはユディトです。信仰と勇気に満ちた彼女は、死の危険にさらされていた民に再び力を与え、希望の道へと導きました。

◆民の指導者の提案 かすかな希望(ユディト記 7章29–31節)

 このような絶望のただ中で、民の指導者は一筋の希望を差し出そうとします。神の救いの介入を待ちながら、なお五日間だけ耐え忍ぶという提案です。けれどもそれはもろい希望にすぎず、彼はこう結論づけました。「もしその日数が過ぎても何の助けもなければ、あなたたちが言ったようにしよう」(7章31節)。ここに罪があります。神に五日間の期限を与え、その間に介入してくださるよう求めたのです。しかし、それは終わりをすでに見据えた五日間の待機に過ぎませんでした。神に五日間を与えて救っていただこうとしながらも、実際には信頼しておらず、最悪の事態を予期していました。民の中にはもはや希望を抱ける者がいなかったのです。彼らは絶望していたのです。

◆ユディトが立ち上がる―希望の大胆さ(ユディト記 8章11-14節)

 この状況の中で登場するのがユディトです。彼女は未亡人で、並外れた美しさと知恵、そして勇気を持った女性でした。ユディトは、信仰と希望の言葉で人々に語りかけます。勇敢にも彼女は人々を公然と戒めました。

 「いいえ、兄弟たちよ、わたしたちの神、主の怒りを引き起こしてはなりません。もし彼がこの五日のうちに助けてくださらなくても、神には、望むときにわたしたちを守る力があり、また敵の手にわたしたちを滅ぼさせることもできるのです。[…] だからこそ、わたしたちは彼から来る救いを信頼して待ち望みましょう。彼に助けを願い求めましょう。そうすれば、御心にかなうとき、わたしたちの叫びを聞いてくださいます」(8章13節-15.17)。

 これは希望の言葉です。ユディトは人々の前で笑い者になる危険を冒しましたが、自分の民の救いのために勇敢に身を投じることを恐れませんでした。預言者のような力で、彼女は人々を神への信頼に立ち返らせます。預言者のまなざしで、彼女は指導者たちが示した狭い視野、恐れによってさらに縮小された視野を越えて見通します。

 そして、私たちは物語の結末を知っています。――神は救ってくださるのです!

◆祈りの無防備な力(ユディト記 9章1-14節)

 ユディトは、ホロフェルネスの軍隊という怪物のような力に対して、祈りと主への全き信頼というシンプルな武器で立ち向かいます。彼女にとって祈りは、神との本物の対話の時であり、抗しがたいように見えるものの真の実態を照らし出す助けとなるのです。ユディトが私たちに示す道は、信頼、平和のうちでの待望、祈り、そして従順の道です。それは希望の道です。安易に諦めることなく、私たちにできることをすべて果たしながら、常に主の御心の軌道の中にとどまるのです。彼女はよく祈り、長く民に語り、そして勇敢に出発し、軍の将に近づく方法を探し、ついにはその首をはねることに成功したからです。彼女は信仰においても行動においても勇敢です。そして常に主を求めます!

 実際ユディトには自分の計画があり、それを成功させ、民を勝利へ導きましたが、常に「すべてを神の御手から受け取る」という信仰の姿勢を崩しませんでした。神の善を確信していたからです。

 ユディトの物語は、どんなに困難な状況にあっても、希望が変化と解放の原動力となりうることの象徴となります。

 私たちは、人生や使命の中で立ちはだかる困難に対し、信仰と希望の力をもって耐えることができるでしょうか? 人々の信仰と希望を支えるために、自ら身を投じることができるでしょうか?

Caravaggio, Giuditta e Oloferne, 1599-1602 ca.

 

 

 

◆さらに深めるために

教皇フランシスコ:

「ユディト 一人の女性の勇気が民に希望を与える」公式テキスト(2017年1月25日 一般謁見)