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今も呼び続ける夢

No.1038

 

 

今も呼び続ける夢

 

愛する姉妹の皆様    

 

最近、「聖ヨハネ・ボスコ」モザンビーク管区のマプトで祝われた「世界共同体感謝の日」に生き生きと参加した、扶助者聖母会員、多くの青少年、教育共同体の少年少女たちの顔、色、いのちと喜びの表情を、わたしは今も目と心に思い浮かべています。管区長Sr. カロリーナ・イルダ・エルミニオと管区のすべての姉妹の用意周到な準備と、本部の社会広報部門との入念な連携作業によって、世界の教育共同体の真心と親愛に満ちた参加を推進してくださったことに、あらためて感謝しております。

 

皆さんがわたしに表してくださった多くの愛情と親しみに心からの感謝を込めてこれを書いています。そして、皆さんの心のなかの意向のためにお祈りしていることを約束します。あなた方と一緒に、さまざまな形で参加してくださった教育共同体とサレジオ家族の皆様に感謝申し上げます。また、モザンビーク管区から提案されたプロジェクトや会のその他の必要に充てるため、わたしが頂いた具体的な連帯のしるしにも感謝しております。ありがとうございます。

 

FMA最初の宣教地出発150周年に向けて

 

2027年は、わたしたち「扶助者聖マリアの娘」にとって、モルネーゼからウルグアイへ、そしてアルゼンチンへと最初の宣教女が出発してから150年目にあたります。すべてのお祝い、すべての重要な記念日は、わたしたちの歴史の根源、わたしたちの霊性の源に立ち戻るよう呼びかけてくれます。2021年10月22日、総会議員に向けられた教皇フランシスコのお言葉、「起源の恵み、神の働きを生き方の中で見えるようにした初期の頃の慎ましさと小ささ、そして驚嘆にあふれてこの歩みを始めた姉妹たちのメッセージを忘れないでください」を、喜びと感謝をもって思い起こしましょう。

最初の宣教地出発から150周年という節目は、わたしたちが扶助者聖マリアの娘であることの一部である宣教使命を再発見するよう招いています。実際、第24回総会の準備中に、すでに共有してきたように、わたしたちは、時に表面的なこと、活動的なこと、共同体への帰属意識の弱さ、過重な仕事、教育的な情熱の欠如、そして何よりも使命を、単なる一つの職業として生きていることが、わたしたちの歩みを弱め、教育的使命の効果と共同体の召命的な雰囲気を損なうことを感じております。「ですから、私たちはより貧しい青少年のための優先的な選択と現実の調和のうちに、常に召命の動機を刷新するようにと継続的に呼びかけられています。」(第24回総会の作業の手引き3)

わたしたちの事業を訪れると、時々、サレジアンのアイデンティティーが明らかでない、宣教精神は熱く燃えるダイナミックな炎ではない、というような印象を受けます。わたしたちは教育的なことよりも、仕事上の成果を重視しているのではないでしょうか。da mihi animas cetera tolleの熱意も、マードレ マザレロから受け継いだ「あなたにこの少女たちを委ねます」も、もう冷めてしまったかのようです。

非キリスト教化の傾向にある文化では、いかなる介入も、たとえ教育的な介入であっても「中立」であろうとします。すべてを同じように、同じ方法ですることによって、自分の良心を沈黙させるかのような社会において、ドン・ボスコとマードレ マザレロの夢が、わたしたちの心にいっそう強く響いてきます。わたしたちは、イエスにおける希望と喜びの理由を青少年に示すため、彼らと共に教育共同体として、『共に歩む』という使命感をより熱意と責任を持って、このためにこそ再発見するよう求められています。

 

こうしてわたしたちの証しは、より公正で友愛に満ちた社会のために、愛によって与えられたいのち、宣教精神を推進する原動力、愛の主体性の感覚をすべての人の中に再び呼び覚ますことに貢献するでしょう。カリスマ的な情熱は、若者と若者の間におけるわたしたちの存在を意義深いものにしてくれますが、その根源はda mihi animas(我に霊魂を与え)の神秘と、cetera tolle(他のものは取り去りたまえ)の修行に根ざしています。わたしたちは、どちらか一方を抜きにして生きることができません。ドン・ボスコにとって教育への情熱は、青少年をキリストに導くために燃えさかる炎です。サレジオの聖フランシスコに言及しながら、わたしたちの創立者は、自らの人生を使命の実現に向け、神の愛を個人的に体験し、そこから力を汲み取り、cetera tolle(他のものは取り去りたまえ)の代価を払うことを受け入れながら、若者を愛し、「充実した豊かな人生」へと導きます。

 

 心を変えるための道のり

 

サレジオ会員の最初の宣教師派遣(1875年11月11日)から2年後に行われた、わたしたちの姉妹の最初の宣教地出発(1877年11月14日)150周年を公式に記念する準備のため、総評議員の姉妹たちとともに行っている考察を皆さんと分かち合いたいと思います。

それは、2024年11月14日から2027年11月14日までの3年間の準備期間をかけてこの偉大なイベントに臨みたいと考えています。会として、実にわたしたちの慎ましくも勇敢な宣教の歴史の中で働かれた不思議なみ業に対し、私たちは個人として共同体として主への感謝と心を変える道のりを続けるつもりです。

わたしたちのこの旅路において、扶助者聖マリアの娘として、わたしたちのカリスマ的アイデンティティーの固有な特徴である宣教精神の火を再び燃え立たせることは極めて重要で緊急なことです。

それは単に物事を行ったり、活動を実施したりすることだけではないことを意識し、教皇フランシスコの招きに応えます。「今日、イエスの命じる「行きなさい」ということばは、教会の宣教のつねに新たにされる現場と挑戦を示しています。皆が、宣教のこの新しい「出発」に招かれています。すべてのキリスト者、またすべての共同体は、主の求めている道を識別しなければなりませんが、わたしたち皆が、その呼びかけにこたえるよう招かれています。つまり、自分にとって快適な場所から出ていって、福音の光りを必要としている隅に追いやられたすべての人にそれを届ける勇気をもつよう招かれているのです。」(『福音の喜び 』 20)

 

教会に託された救い主キリストの使命は、いまだその成就にはほど遠く、人類全体を見るとまだ初期段階であり、わたしたちはその奉仕に全力を注がなければならないことが分かります。教皇フランシスコは、「宣教が教会を刷新し、信仰とキリスト者のアイデンティティーを再活性化し、新たな熱意と動機を与えるという確信のゆえに、新たな宣教への取り組みを決意します。信仰は与えることによって強められます。キリスト教諸国の人々の新たな福音化は、全世界に向かう宣教への取り組みによってインスピレーションと支えを見出すでしょう」と述べておられます。(世界宣教に関する回勅『Maximum Illud』公布100周年に教皇フランシスコの使徒的書簡  2017年10月22日未訳)

わたしたちが選んだ3年間の目標は、「現代世界において、教会と人類への贈り物として、わたしたちのカリスマの預言的な推進力を復活させるという会の宣教熱意を、感謝の心をもって祝う」ことです。

これは、自分の生き方に実際に影響を与える一つのプロセスの仮定であり、新たな宣教地への招きに参加するようわたしたちを助けるものです。次の期間内に実現されることを紹介します。

第一年目:2024‐2025年

2024年11月14日 養成者の集会で、荘厳な祝典とマードレのことばがオンラインで送信され、3年間の準備を正式に開始します。

 

第二年目:2025‐2026年

希望の巡礼者」教会では聖年の恵みを体験し、会としては3年目のヴェリフィカを実施します。

 

第三年目:2026‐2027年 

第25回総会の開催によって記念します。2027年11月14日、扶助者聖母会の最初の宣教地出発150周年の祝典は、新たな宣教師派遣の決意をもって終了します。

 

スローガンは、 「今、炎を再びかきたてるには

良いときなのです-FMA宣教150周年」

(聖マリア・D・マザレロの手紙27参照)

わたしたちを出向いていく共同体にする絆を強化し、同伴者のいない未成年者の支援のためのプロジェクト、ヨーロッパにおける新たな福音化、また、大陸間における宣教師の派遣と受け入れ、感受性が高く、準備ができている一般信徒の宣教地派遣を奨励するなどの取り組みによって、新たな宣教の推進に結集することが適切であると感じています。

マードレ カタリーナ ・ ダゲーロ(1924-2024)の天国での生誕(帰天)100周年記念と、これに関連して開かれる集会や出版される書籍による助けは、3年計画の最初の段階へとわたしたちを招いてくれます。

 

FMA 最初の宣教地出発150周年に向けた準備のこの時期に、各管区は、サレジオのカリスマをもたらすために出発した、あるいは到着した宣教女たちの人物を研究しながら、自分の管区の宣教の歴史を再発見するよう招かれています。それは、素朴なシスターたちが、多くの場合、その土地についての適切な知識も十分でない中、わずかな手段を携え、総合的(インテグラル)な教育と勇気ある福音宣教を通して、社会的、文化的、教会的なレベルで、どのようにして現実の変革を実際にもたらすほどの影響を与えるまでに至ったかを理解する良い機会となるでしょう。

会と管区の歴史のまだ知られていない側面を明らかにするため、管区と地域のアーカイブの研究に着手するに当たり、この貴重な貢献のため、サレジオ歴史愛好者会(ACSSA)の会員である姉妹、他の扶助者聖母会員と熱意ある信徒の方々は、評価され、それに参加することができます。

そして何よりも、神への信頼と多くの勇気を持って、始めることを恐れないで前進することです。 「宣教師であるという選択は、慣習、様式、時間割、言語、そしてあらゆる教会の組織が、自己保存のためというのではなく、現代世界の福音化のための適切なチャンネルとなるよう、すべてを転換させることができます。司牧的回心を求める組織の改造は、この意味でのみ理解することができます。すなわち、すべての組織がより宣教的になり、通常の司牧活動があらゆる場合において、より広範囲で開かれたものとなり、司牧的な働きを絶えず外に出向いていく姿勢に置き、それによってイエスが友愛の手を差し伸べるすべての人の積極的な反応を促すようにします。」 (世界宣教に関する回勅『Maximum Illud』公布100周年に教皇フランシスコの使徒的書簡  2017年10月22日未訳)

この特別な歩みに、母であり、師である聖母は先を歩いてくださいます。福音の最初の宣教女でいらっしゃるマリアに同伴され、勇気と大胆さをもって聖母への信頼を新たにしましょう。そうすれば聖母は、わたしたちに新しい宣教の地平を示し、聖霊降臨のときのように、苦しんでいる人類に神の偉大なわざを告げ知らせるため、ほかの国々の言葉で話すことができるようにしてくださる聖霊の声に、心を開き続けることができるように、わたしたちを助けてくださいます。(使徒言行録2.4,11参照)。

諸国民の平和、困難に直面しているわたしたちの共同体、

そして、特にカリスマ的な心をもって愛する青少年たちを聖母マリアにお委ねしましょう。

皆さんとご家族の皆様、そして教育共同体の皆様に、扶助者聖マリアの祝日のご挨拶を申し上げます。 主がわたしたちを恵みで満たし、現在には隠されていて知ることのできない未来を予見する力をお与えくださいますように。

愛情と感謝の気持ちを込めてご挨拶申し上げます。

 

2024年5月24日 ローマ

 

 

                                    皆様を愛するマードレ