No.1025
教会の中で、そして平和のために
シノダリタと家族の体験
愛する姉妹の皆様
只今、冬季総評議会を終えたところです。忙しくても穏やかな日々でした。その中で、わたしたちは皆様の存在と、日々の祈りと献げ物による同伴を感じました。サレジオのカリスマの源で養われた帰属意識と交わりが、会の中に生き生きと養われていることに、慰められています。
2022年 恵みの一年
聖フランシスコ・サレジオの没後400周年を終えるにあたり、教皇フランシスコは教会とわたしたちに「Totum Amoris est」という書簡を送られました。そこには私たちの会の保護者でもある愛の博士の霊的遺産が要約されています。聖フランシスコの教えを深く理解することによって、教皇の招きに応えることができるでしょう。すべての世俗性から解放されているが、世界に住むことができ、人々の生活を分かち合い、共に歩み、耳を傾け、歓迎することができる、自己参照的ではない(autoreferenziale:自分自身と自分のことだけに目をとめて、他の現実との関係を考慮しない)教会」(使徒的書簡Totum amoris est)です。
ドン ボスコは、聖フランシスコ・サレジオの中に、自らを余すところなく、すべて青少年の者となって、彼らを聖性というキリスト者としての生活の高みへと導くことのできる、愛深い父性の模範を見、その模範に導かれました。聖フランシスコ・サレジオは『神愛論』の中で、『神は人間の心の神である』と認めています。奉献生活の関連性と意味は、まさにこの体験の根本的な証しにあります。マリアの招きを受け入れるよう私たちを開く愛の契約を深めるよう求められています。イエスのことばに忠実に、一人ひとりを助け、教育的愛をもって世話をするため、「この人の言うとおりにしてください」(ヨハネ2:5)と。
創立当初から、わたしたちの会は、青少年への愛に満ちた心遣いによって特徴づけられてきました。したがって、創立150周年の記念行事を終えるにあたり、わたしたちは多くの恵みの兆しを観想し、わたしたちがこれまで行ってきたことを確認しています。多くの姉妹と教育共同体の生活における明白な神の働きと、会の歴史においてのマリアの現存は、すべての大陸でカリスマの活力のため、いのち、希望、未来を生み出すことのできる 新たな福音宣教の告知に対しての称賛と祝福、そして献身への動機づけとなります。
第 24 回総会との継続の中に
総評議会プログラム(2022―2027)は、引き続き総会の優先課題と決意表明の審議を行う際の前提となります。
いのちを生みだすpresenza」という任務は、わたしたちの存在と使命の指針となる縦糸であり続けています。この精神で、わたしたちはさまざまな管区や共同体を訪問してきました。
長い間、離れて暮らしていたわたしたちは再会の喜びをどこにいても味わいました。
全体会の集いで分かち合った豊かな経験は、全員がダイナミックで今まで以上に現代的なカリスマの美しさと活力に触れることができました。わたしたちは、継続養成と宣教的シノダリタの歩みにおいて、日常生活の中で「presenza」の変化する力を生きるために、各管区が活性化しているプロセスを評価します。さまざまな現実の中にあって、貧しい人々の叫びと異なる状況における教育的必要性に応えるため、地域内での新たな共同体の開設で分かるように、地理的・実存的辺境でいのちを生み出すpresenzaとして、「そこにいる」喜びと生き生きとした望みをわたしたちは感じています。
カリスマを活性化し、わたしたちの存在をより意義深いものにするために多くの共同体や管区が、勇気を持って実行している再定義のプロセスは、わたしたちが希望を持って未来を見つめ、同時に、主の手の中にいるという新たな信頼を持って現在を考えるよう助けてくれます。こうしたプロセスは、物事をそのままにしておくという誘惑に打ち勝つようわたしたちを導く、非常に大胆な意思表示です。確かに、今日、わたしたちは、新たな勇気ある対応を求める、前例のない神からの呼びかけを感じています。年齢に関係なく、わたしたち全員が会において重要な存在であり、共通の教育使命を担う共同責任者であり、それぞれが神の国の建設にかけがえのない貢献をするよう求められています。
最近行われたアルゼンチン管区の統合(2023年1月31日)でさえ、カリスマに新たな推進力を与え、多様性を大切にして交わりを続けていきたいという望みに動かされた、長い識別の歩みの結果でした。聖霊に耳を傾け、わたしたちの貧しさを、青少年の喜びといのちのために今日の「新しいぶどう酒の奇跡」が現れる場所にしたいという願いを表明するこれらのプロセスに、祈りと親しみをもって同伴しましょう。
総会の第一の優先課題に沿って、わたしたちは総評議会として「共に養成する」ことに継続性を与え、異なる部門の協力する姉妹たちと共に、予防教育の精神で回勅『ラウダート・シ』の目的を反映させながら、総合的エコロジーの深化を続けてきました。同じテーマを雑誌『Da Mihi Animas』編集部が探求し、今年2023年の4号で提案する予定です。
サレジアンシスターズ養成プロジェクトとFMA教育使命の指針のテキストを更新するようにという第24回総会の委託に応えて、わたしたちはFMA委員会と協働し、学際的レベルで共有する考察の道を歩み始めました。これを通して、シノドス形式とインタラクティブな方法論で、管区協議会、ひいてはすべての管区とすべての共同体に至る参加を促進します。
家族とシノダリタの経験
去る1月22日、トリノ・ヴァルドッコで、サレジオ会のアンヘル・フェルナンデス・アルティメ総長とその評議会にお会いしました。わたしたちの発生の地であるこの場所で、家族として一緒にいる喜びの中で、このテーマについての経験と考察を分かち合いました。
サレジオ青少年司牧を活気づける原則と目標としての召命の促進。
まさにわたしたちが生きているこのような時代だからこそ、召命文化を推進する絶好のチャンスであると感じています。確かに、青少年が神を渇望し、イエスは彼らの寛大な心を知っているからこそ、彼らを呼び続けているのだと思います。わたしたちとしては、彼らの間に現に存在し、神が一人ひとりに与えられる召命に対する絶え間ない祈りと情熱的なあかしに基づいた基本的な司牧を通して共同生活と教育共同体を刷新し、召命教育に対する理解を深め、具体的な教育実践の行程を発展させる必要があります。
また、パンデミックの後、ローマ本部でドン ボスコ女子在俗会の総評議会との年次会合を再開できたことを喜びのうちに分かち合います。それは、サレジオ家族の中で相互に豊かになる機会でした。提案された「預言としてのpresenza」の考察は、神と兄弟姉妹に開かれるものとして 聞く存在、他者と共に歩むことを知っている存在、相互補完の文化を培い、個人・共同体の継続的な回心において配慮を生み出す存在を強調するようにと導きました。
特に浮き彫りになったことは、四大陸からの新管区長のグループと過ごした養成研修会での「シノダリタ」の経験でした。私たちは、共に熟考と親睦の時を分かち合い、聖霊に深く耳を傾け、共同体の中心でいのちを生み出すことを目指した活性化と統治の新しい奉仕のスタイルを模索しました。信頼、対話、比較検討の雰囲気はわたしたちを豊かにし、養成の学び舎であり、希望の源となりました。
そして、2022年12月7日に開かれた集会のテーマも、わたしたちにとって重要な意味があります。それは、「パンデミック後は、少女たちにとってどのような未来があるのか」というテーマで、UISG(国際総長連合)の協力を得て、UISGローマ本部で開催されたコンボニ会世界財団、国際ボランティアVIDES、良き牧者の愛徳聖母修道会の集会です。
この体験には4つの女子修道会が参加しました。善き牧者のシスター、コンボニ宣教会のシスター、宣教地の聖母のシスター、そして本会の姉妹たち です。これは、女子青少年の保護と統合教育の分野において、女子修道会間の共同支援活動を展開する持続的な体制の設立に向けた第一歩となるものです。
教会で、そして平和のために
2022年12月31日、名誉教皇ベネディクト16世は、おん父の家に帰られました。
わたしたちは、『とても気高く、とても優しい人』、信仰と祈りの証人、そして『カテケージスの偉大な教師』として、愛情と感謝の思いを込めて心に刻んでいます。
教皇ベネディクト16世の生涯とメッセージは、その豊かな教皇の教えの基本的なテーマの中で、神の愛の中心性を私たちに思い起こさせます。「人をキリスト信者とするのは、倫理的な選択や高邁な思想ではなく、ある出来事との出会い、ある人格と出会いです。この出会いが、人生に新しい展望と決定的な方向づけを与えるからです。」(『神は愛』, 1)」
教皇ベネディクトはこの信念を一貫して貫き、「主よ、私はあなたを愛します」という言葉でその生涯を閉じました。
本会は、教会として、また教会において、シノダリタに関する「シノドスの大陸別ステージ」を経験しています。これは、2023年10月4日から29日まで第一会期で開催されるシノドス(世界代表司教総会)の全体会を視野に入れ、教会の現実にお互いに耳を傾ける機会を提供します。
シノダリタの歩みは、「神が第三千年期の教会に期待する道」(教皇フランシスコ、2015年10月17日 司教会議設立50周年記念)であり、教皇フランシスコがすべての人に提案する計画的な約束です。それは単にスタイルの問題ではなく、愛の問題です。愛する人は、交わり、参加、宣教を促進します。これは、教会にとって、そしてもちろん、わたしたちの教育共同体のそれぞれにとって、呼びかけであり、挑戦であり、また、成長のための真の機会です。
また、シノダリタには、一人ひとりがすべての人のための善の担い手(運び手)であることを認識することも含まれます。教皇は、2023年1月31日から2月5日まで、コンゴ民主共和国と南スーダンを「平和のエキュメニカル巡礼」のために訪れて、それを明確に示されました。その選択には、すべての人を包むことへの心遣い、彼らを知り、その声に耳を傾けるための存在と近しさ、違いを認め、未来の兆しに開くことを具現化しているように見えます。
教皇フランシスコは、特に最も貧しい人々に影響を与える不正を明確に公表されましたが、神の力に対する揺るぎない信仰と同時に、『一つの家族の兄弟姉妹として、他の人と一緒に居られる未来のために働く』よう力を合わせることのできる人々への信頼を表明しながらそれを行われました。
キンシャサで出会った若者たちに、祈り、共同体、誠実さ、赦し、奉仕という「未来を築く5つの要素」を託されました。彼の招きを受け、青少年と共に歩むことで、わたしたちは、日常の出来事から始められる平和の文化を共に築くことができます。わたしたちの共同体の多くは、最も弱く、無防備な人々と並んで、困難でしばしば危険な状況で生活しています。わたしたちは、平和への効果的な貢献となるその静かで勇敢な証に感謝しています。
わたしたちは、大小の紛争の和解と平和的解決という福音的文化を広めるため、具体的な方法を模索し、たとえ直接支払いをしてでも、疲れることなく教育し、平和を推進していきます。
この数日間、わたしたちは2月6日の壊滅的な大地震で被害を受けたトルコとシリアの人々に寄り添い、連帯しています。中東の「少年イエス」管区の共同体と、さまざまな方法で緊急支援に協力してくださっているすべての方々に感謝します。
決して見捨てることなく、わたしたちに同伴してくださる主の恵みに信頼するようにという新たな呼びかけです。この確信に支えられ、憐れみ深い心で四旬節を過ごし、マリアのようにみことばによって変えられるままに生きていきたいと希望しています。
愛情と感謝を込めて皆様にご挨拶します。
2023年2月24日 ローマ
マードレ キアラ・カッツオラ
総評議会の姉妹一同